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第0404話 

嬌は呆然とし、後ろに二歩退がった。

「高杉社長」ダーリンさんは軽く会釈した。

輝明の視線は綿に向かった。彼は少し驚いた。綿もここにいるのか?

もしかして彼女もクルーズパーティーのためにドレスを準備しに来たのだろうか?

綿はただ彼を一瞥しただけで、挨拶はしなかった。

「サイズは測り終わりましたか?」輝明は近づいて、ダーリンさんに尋ねた。

ダーリンさんは微笑みながら、隣のソファを指さし、座って話を続けるよう促した。

彼女は歩きながら言った。

「はい、すでに嬌さんのサイズを測って、スタイルも決まりました。輝明社長の礼服は、嬌さんのドレスに合わせる形でよろしいですか?」

綿は一人掛けのソファに座り、気まぐれに脚を組み、リラックスした様子で背もたれに寄りかかりながら、スマホで玲奈にメッセージを送った。

綿「ねえ、誰か分かる?ドレスの予約に来たら前夫とあの女に会ったわ。うんざり!」

玲奈「世界は狭いわね。仏様、どうか彼らを消しておくれ」

綿はメッセージを見て、思わず軽く笑い、口元が少し上がった。

輝明の視線は無意識に綿に向かっていた。

今日の綿の服装は本当に大胆だ。昨晩の飲み会で見た彼女とはまた違う雰囲気だった。

彼女はまるで様々な顔を持っているようだ。彼はこの瞬間、初めてそれに気付いたように感じた。

「輝明社長?」ダーリンさんは輝明を何度も呼んだが、応答がなかった。

嬌は輝明の腕を軽く押し、輝明を淡々と見つめた。彼はまた綿を見つめていた。

あの綿にはそんなに大きな魅力があるのか?

輝明が視線を戻すとき、ちょうど綿が顔を上げて彼を見た。

最近の彼の様子はあまり良くないようだ。疲れ切っているのが肉眼で分かる。

輝明は「うん」とだけ言い、「ベストやテールコートは要らない、好きじゃない。シャツとジャケットだけでいい」と答えた。

「分かりました」ダーリンさんはうなずいた。彼女はこういった明確な要求を出す人が好きだ。

後からデザインを修正する手間が省けるからだ。

綿は続けて玲奈にメッセージを送った。

綿「前夫になったら、彼がどんどん嫌に見えてきた。殴りたい!」

玲奈「じゃあ今度彼を路地裏に連れてって、二人でぶん殴ろう!」

綿「賛成!」

玲奈「言ったからにはやるわよ、私が戻ったら!」

綿「玲奈、あなたは女優でしょう!このチャット記録
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